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  「SI及びユーザからみたHMIの進化とこれからの役割」
2006/11/22
  1.HMIの進化を要求するニーズの変化
 

ものづくりにHMI(Human Machine Interface)が関わってきた経緯を見るに、人と機械・装置・システムの関係を考えてみる。当初、単純なスイッチ・ランプの集約操作パネルからはじまり、自動化の変遷とニーズの成長とともに、状態表示、アラームサマリ表示、トレンド表示、グラフ表示、パレート図表示、コントローラのレシピ表示、などが加わってツール関係も成長してきた。さらに、Web機能を使用した遠隔から見られる画面情報表示、他部門からのミッション別裏画面の遠隔表示、事後保全で利用できる操作画面の再生表示機能、ブラウジング機能を使用したSOP(Standard Operation Procedure)表示/ビデオ表示/3D-CAD表示などを可能にして、パートナー関係へと進化していくようである。
これらのHMIの進化は、使っているユーザやシステムインテグレータのニーズの変化に対応して生まれて育てられてきたものである。
これらのHMIの成長を表と図にしてみたものを< 表1、図1、図2 参照 >に示す。
さらに、これを業界別に見てみると、ドキュメントの電子化で業務情報がどのように連携し、現場にどう効果をもたらすのかが見えてくる。

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2.業界別要求事項
  各業界別の表示器に対する要望と将来ニーズについて日本電気制御機器工業会 プログラマブル表示器技術専門委員会で調査を実施したがその中からいくつかご紹介する。
  1) 現状の要望事項
    A. プラント業界
プラント業界では、従来から以下5点の要望がある。
・信頼性が高いこと
・保全性が高いこと
・自己診断機能の充実
・ 防爆エリアには防爆仕様で
・ マルチ言語表示切り替え機能(海外プラント)
    これは、HMIに限らず装置全てに言えることでもある。現場の作業者が減少している昨今では特に、「故障して欲しくない。」「手間をかけさせないで欲しい。」という心情が、「どうしても手間をかけるのであれば、最小限にして、前もって知らせて欲しい。」という要望に現れている。
    B. 水処理業界
水処理業界においては、処理スピードに加え、以下4点が要望されるという結果がでている。
・高速処理であること
・信頼性が高いこと
・自己診断機能の充実
・保守性が高いこと
    C. 医薬品医療品業界
GMPを維持しなければならない医薬品医療品業界では、信頼性、保全性、自己診断機能充実以外に、
以下の4点が加わる。
・GAMPに対応したカテゴリ別オーディット受託
・操作バリデート付き(操作ブロック機能と認証手続きによる解除機能)
・画面表示履歴と操作履歴の記録
・事後保全時の再生検証機能付き
    D. 素材製造装置業界
ここでは装置を設計する立場の要素が加わる。
・高信頼性
・耐環境性強化
・メーカ互換性
・小型薄型軽量化
・周辺機器の充実  など
    E. 食品加工機械装置業界
      扱う製品が「衛生について責任を持って管理すること」というHACCPの課題をクリアしなければならない。海外輸出も増えていることからマルチリンガル対応が求められる。
・耐環境性強化(特に耐洗浄、防水・防滴)
・マルチ言語切り替え、多言語表示
・小型薄型軽量化
    F. 搬送・輸送機械業界
生産拠点や物流拠点内の原材料、仕掛品、完成品の全ての移動にかかわる機械が搬送機械で、品質トレーサビリティや生産工程情報やロジスティック事情によって、RFID/バーコードを製品や搬送機械・機械部品に取り付けるなどが進んでいる。
・高機能大容量化
・RFIDやバーコード情報を扱える
・高速化処理
・技術サポートの充実(特に海外)
・画面の視認性
・マルチ言語切り替え、多言語表示
  2) 将来への期待
    将来への期待として共通していることがいくつかある。
    イ) 監視室から各装置の状態を把握したいので、Web表示
    ロ) 保全作業や点検作業で携帯電話やPDAと連携
(特に携帯電話のメールやWeb表示やアプリ連携に期待する)
    ハ) 保全作業サーバ内のSOPや電子ドキュメントを表示及び操作
    ニ) 事後保全用の解析で、操作画面表示と操作履歴の再生確認ができること
    ホ) 工場内にロボットを導入することが進むので、無線やRFIDの組み合わせソリューションを付加。
    そして更なる消費電力削減。
    これらの背景であるが、オペレータの作業性が増し、生産性が向上を追及する観点から、以下のことが考えられる。
    A. 機動性が高く、生産現場・フィールドから直接工程状態を把握できる。
    B. 他のDB(Data Base:設備保全システム・SOP等)をフィールドからアクセスし、必要情報の閲覧や作業手順・支持等の付加価値を得られる。
    C. 電子ドキュメント化が進んで、Know HowやKnow Whyを蓄積して現場のルール化改善や生産価値向上につなげる。そのための情報収集。< 図3、図4 参照 >
   

D.

海外サポートの充実を図り、海外工場での装置の付加価値を上げて、差別化戦略を展開。

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3.工場内ネットワークとセキュリティとHMI

 

基幹系MESの設計において、基幹系MESとしてのインターフェースは、コントローラとPIMS(Plant/Process Information Management System)、コントローラとスケジューラの接続、コントローラと生産管理Batch系アプリケーション、コントローラとMRP/ERPなどがある。
なぜこのように多いかというと、生産方式によって、コントローラ/監視制御の設計内容が異なり、求められる仕様によりハード設計/ソフト設計が異なってくるからである。
生産システム、装置の設計上では、困った問題を持つ。この解決方法が重要となる。

  A. Windows系OSをターゲットにしたウィルスが多い。
  B. ウィルス除去ソフトをPCに搭載することになるが、そのバージョンアップ作業が発生する。
  C. ウィルス除去ソフトが起動すると他の機能に支障を来たす。
  そこで、制御系ネットワークと情報系ネットワークを分けて、工場内ネットワークを設計しなければならない。そして、制御系ネットワークは、無菌環境で設計しなければならない。
情報系ネットワークは、多くの人が関わるネットワークであることから、ファイヤーウォールやルータ分岐、ソフト・ゲートウェイ、暗号化などで情報システム的セキュリティ対策を施し、さらに働く人のモラルと運用ルール、そしてある程度のモチベーション維持教育を必要とする。また、情報系では、制御系から得た情報をLIMS(Laboratory Information Management System)、CMMS(Computerized Maintenance Management System)のデータベースに蓄積し、各部門別イントラネットのEDMSサーバで各部門のドキュメントを管理し、EDMS相互間での情報検索可能環境を低コストで構築できるようになってきた。
  表示器のOSは、ほとんどの場合Windows系OSではない。よって、図のように、表示器に情報系ネットワークを接続し、情報系へのデータを表示器から情報系ネットワークのサーバに上げることで、Windows系ウィルスを制御系ネットワークへ入れることは無いことになる。敢えてテロ攻撃しようとするならば、表示器へウィルスソフトを送り込み、PLCと表示器の間の通信を通過してPLCへ、さらにPLC経由で制御系ネットワークへ送り込むこととなり、その為には、表示器の内部ソフト構造や通信プロトコル及びPLCの内部ソフト構造を熟知していることが必要で、さらにシステムエンジニアが設計した制御構造を知っていなければならない。これは非常に難易度が高いことである。< 図6 参照 > 

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4.HMIの進化の今
  SI及びユーザからみたHMIの進化とこれからの役割をいろんな業界のいろんな視点から述べてきたが、HMIの代表的な表示器では、以下のような進化が見られる。< 図7 参照 >
  1) 現在できていること:
    A. 画面再生表示:時間指定で過去の表示画面を再現する機能
    B.
マルチ言語表示と画面切り替え: 表示画面を日本語だけでなく、英語、フランス語、中国語、ハングル語、スペイン語などで表示し、その場で画面表示言語を切り替えられる機能
    C.
Web配信: 現在表示していない画面をネットワーク上のPCで見られる機能。
例えば品質管理用、保全用の専用画面を作成し、それを遠隔から見られる機能。
    D. 防爆仕様の表示器:防爆エリアで使用できる防爆タイプの表示器
    E.
拡張用I/O: 制御用コントローラにつながっていない通信機能を持つ計測器や分析器などとつなげることで(通信仕様によってはまだつながらないものもある)見える化に必要な情報をネットワーク上に上げることが可能になる。
  2) 組み合わせでできること:
    A.
操作セキュリティ: RFIDスキャナとの組み合わせで、表示器の前に誰が立って操作したかの確認。
    B.
無線との組み合わせ: 人を乗せたり人とのコミュニケーションを必要とする搬送機やロボット装着の表示器。
    C.
無線・RFID・ロボットの組み合わせ: AGVの搬送と生産工程の組み合わせにより、生産方式そのものが変わるソリューションとなる。
  3) 現在取り組んでいること:ものによっては、近くリリース可能
    A.
ブラウジング表示操作機能: ネットワーク上のPCサーバにあるSOPやスケジューラや監視画面などを表示器に表示させ、操作が可能となる機能
    B. 携帯電話向けWeb配信:携帯電話に表示器の画面を表示する機能(一部はできている)
    C. 画面操作履歴:画面表示と操作の履歴データをアーカイブに蓄積していく機能
    D. 消費電力削減への努力

5.まとめ
 

現場のHMIである表示器の役割として、製品の製造過程のモニタやデータ収集、品種パラメータ設定など装置の稼動、製品の製造に関わるため、耐環境性、信頼性の向上が望まれていることは今後も変わらないであろう。海外への工場進出もあり、マルチ言語切替機能は必須である。見える化を推進したくても、ネットワークにつながらないものがあって困るケース、特に計測器や分析器などの情報であるが、これらは個々に事情が異なるため、個別に対応していくしかない。携帯電話やPDAの組み合わせもそうであるが、ブラウジング機能への期待は高い。
また、要素技術の連携による組み合わせソリューションは、これから、機動性を発揮する展開になるであろう。


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