はじめに
製造業におけるパソコンをベースとした監視制御システムの歴史は、すでに20年以上の長きにわたっている。パソコンの性能やGUI機能が高度になりその機能や性能の進歩には目を見張るものがある。
反面、製造現場ではパソコンそのものやWindowsに対する信頼性やランニングコスト面での費用対効果に対する疑問もあるのは確かである。しかしながら、現在の製造業を取り巻くビジネス環境では、基幹業務システムであるERPやCRMなどの上位系システムとの連携を行い顧客のニーズあるいは会計監査的なニーズに即応した製造システムを構築する必要があることはいうまでもない。その意味ではパソコンを使用したオープンな監視制御システムはこれからも幅広く利用されることは間違いない。日本国内ではパソコンベースの監視制御システム、特にパッケージ化された製品に対するニーズはすでに飽和状態であり、今後の市場ニーズの高まりは期待できないといった見方がある反面、欧州や中国をはじめとするアジア諸国では、年率9~15%といった高い伸長率で推移して行くという市場予測があるのも事実である。
そこで今回は、当社の最新のSCADAソフトウェアであるCitectSCADA v7.0をベースに、製造現場では絶対要件とされる24時間、356日無停止型のシステムを実現した監視制御システムを紹介する。
真の冗長化を実現
CitectSCADAは、開発当初から24時間、356日無停止型の監視制御システムを実現すべく考案されたソフトウェアである。他の多くのSCADAソフトウェアが冗長化あるいは2重化を機能として標榜しているにも関わらず、実際には表示機能のみをその守備範囲としている中で、CitectSCADAは、真の冗長化機能を提供している。
図1はCitectSCADAのシステムアーキテクチャを示したものである。CitectSCADAは、基本的にI/Oサーバ、トレンドサーバ、レポートサーバ、アラームサーバの4つのサーバモジュールと、画面表示・操作用クライアント、通信ドライバから構成されている。冗長化を構成する場合には、それらのサーバモジュールを1台のパソコンに搭載することも、別々のパソコンに搭載し冗長化構成を構成し使用することも可能である。(図2,図3)
図2は一般的な冗長化の構成を示したものである。図3はCitectSCADAの特筆すべき冗長化構成を分かりやすく示したものである。サーバ冗長化時における等値化のメカニズムについては、Disk I/O Redundancyという方式を用いて真のサーバ冗長化を実現している。(図4)この冗長化のメカニズムを有している市販の監視制御用パッケージは筆者が知る限りCitectSCADAが唯一の製品であり、特筆すべき点である。
冗長化メカニズムとその特徴
CitectSCADAでは、主系サーバと待機系サーバが同時に同じ動作をしている訳ではない。主系サーバだけがPLCと通信している。これによってネットワーク上のトラフィックが大幅に軽減される。また、主系サーバと待機系サーバとの間では絶えずステータス情報(主系・待機系のI/Oサーバは、それぞれローカルにCDKというディスクイメージファイルを展開)を更新しており、障害発生時、つまり、主系サーバに障害が発生した場合に、待機系サーバは主系サーバが動作不能になったと判断して自身が主系サーバに成り替わって処理を引き継ぐ。この切り替えのタイミングは、システムの状態によって異なるが、CitectSCADAではそれぞれの場合に応じた設定パラメータを用意している。(たとえばシステムがシャットダウンされた場合には−主にシステム管理者によるメンテナンス時のシステムの中断など−待機系サーバに瞬時に切り替わる機能や、通信回線が切れた場合のリトライの回数や待ち時間など。)
この冗長化の機能は具体的には、以下のような動作を実行するものである。(図5)
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通信ドライバの冗長化 |
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制御装置やPLCとの通信の冗長化 − 主系のPLCが何らかの原因で停止した場合や通信が途切れた場合にSCADA側の通信ドライバは自動的に待機系のPLCとの通信に切り替えを行う。主系のPLCあるいは通信が回復した場合には自動的に接続を元に戻すよう設計されている。
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A |
I/Oサーバの冗長化 |
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主系のI/Oサーバが何らかの原因で停止した場合には、CitectSCADAは待機系のI/Oサーバに切り替り、継続してサーバ機能を実行する。また、主系サーバが停止状態から復帰した場合には、直ちに主系サーバへのタスクの切り替えを行う。
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B |
トレンドサーバ、レポートサーバ、アラームサーバの冗長化 |
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この3つのサーバアプリケーションについては、主系のサーバが何らかの障害により停止した場合に、待機系の各サーバが切り替わって継続してサーバ機能を実行することは同じであるが、I/Oサーバは必ず主系と待機系の位置づけが変化しないのに対して、この3つの各サーバアプリケーションは主系と待機系の順列は交互に変化する点である。 |
より高度な冗長化が必須とされる空港の照明設備用途(PC、ネットワーク、PLCの冗長化など8系統の冗長化パスが必須)や港湾システム用途(すべての機械がそれぞれ個別に1台の主系サーバに対して, 7台の待機系サーバが必須)では、最も卓越したパソコンベースの監視制御ソフトウェアと評価されている。図3は、すべてのサーバモジュールとコントローラを冗長化した場合のシステム構成例である。
CitectSCADAの機能
ソフトウェアの商品構成は、従前のバージョン同様にタイムススケジューラー、OPCサーバ、アプリケーションインタフェース、コミニュケーションドライバー開発キット以外はすべて標準機能として装備されているオールインワンのパッケージ構成となっている。また、ソフトウェアの価格も実I/O点数による区分となっており使用者がシステムの規模に合わせて自由に選択可能となっている。以下が基本的な機能である。
機能 |
概要 |
グラフィックス |
オブジェクト指向グラフィックス、VGAから4,096x4,096まで各種画面サイズに対応 |
トレンド |
時間/イベント・トレンド、ミリ秒単位のデータ収集・格納も可能 |
アラーム |
ミリ秒単位のタイムスタンプ、豊富なアラーム種別、各種フィルタ有り |
冗長化 |
I/O、LAN、サーバの冗長化、内部データやアラームの同期、8種類の冗長化に対応 |
多重言語 |
ランタイムにて使用言語の切り替えが可能、言語のデータベース登録が必要 |
プロセスアナリスト |
アナログ・データ、デジタル、アラームのイベント情報をチャート表示解析するツール |
統計処理制御
(SPC) |
Xバー、R、S管理図、Cp、Cpkチャート、パレート図で統計解析を行う |
XYプロット |
散布図によるデータの相互関係を解析する |
レシピ |
バッチ処理のためのデータの一括アップロード、ダウンロード機能 |
レポート |
データ、アラーム情報をもとに帳票を作成する |
Genie、Super Genie |
複数タグを割付けた複雑なオブジェクトの再利用性を向上させる機能(一括設定) |
XML WEBサービス |
業界標準となっているXML WEBにてビジネス・アプリケーションとの統合を容易に実現 |
OPCクライアント/
サーバ |
OPC DA 2.0準拠 |
SQL/ODBC |
各種汎用データベースとの統合 |
I/Oドライバ |
各種制御機器との通信を行うI/Oドライバ約300種類を標準添付 |
Cicode |
スクリプト言語、CitectSCADAが実行時にコンパイル、マルチタスク |
CitectVBA |
Microsoft VBA互換のスクリプト言語、マルチタスク |
WEBクライアント |
WEBブラウザでクライアントを実行、リード・オンリー設定有り |
ディスプレイ・
クライアント |
標準のクライアント、リード・オンリー設定有り |
開発環境 |
Citectエクスプローラ、Citectプロジェクト・エディタ、Citectグラフィックス・エディタ |
ランタイム環境 |
CitectSCADAプロジェクトを実行する環境 |
ソフトウェア・
ライセンス |
I/O点数によりライセンス、75点から無制限まで計7種類(タグ点数や内部タグはカウントされない) |
最新版CitectSCADA v7.0
CitectSCADA v7.0は今年の8月15日に発売を開始したばかりの最新のSCADAソフトウェアである。以下にV7.0で追加された機能を説明する。
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マルチクラスタリング機能 |
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前述の冗長化機能に加えてさらにマルチクラスタリング機能を備えて、さらにシステムとしての堅牢性や拡張性を高めている。CitectSCADA v7.0のマルチクラスタリング機能は、 1つのプロジェクト内で動作する複数のランタイム コンポーネントセットをグループ化して、複数ある個別の監視制御システムの監視制御を行うことができる(図6)。つまり、各工場や生産ラインに分散して存在するCitectSCADAの監視制御システムを中央のコントロールルームから監視制御することが可能となる。 |
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● |
プロジェクト内では、各サイト(各工場や生産ラインに敷設された監視制御システム)は個別のクラスタとして表され、主系サーバと待機系サーバをグループ化し、各サイトのクライアントはローカルクラスタのみに関与することになる。 |
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● |
中央のコントロールルームのクライアントでは、すべてのクラスタを監視・制御することができる。(ダイナミッククラスタ) |
この機能を利用すると特定のサイトのオペレーターが通常の営業時間内のみ勤務し、終業後の監視は中央のコントロールルームに切り替えて業務を遂行することが可能となる。このような機能は製造現場の省人化がすすみ遠隔監視要求に対するニーズの高まりに合致した機能である。また、製造業以外でもSCADAソフトのニーズが高まっているビル監視業務においても、通常の業務時間以外のビル監視業務における遠隔監視のニーズにも大きく貢献すると思われる。
A |
オンライン変更機能 |
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オンライン変更機能は、管理者がシステムに変更を加えている間もクライアントを利用しているオペレーターが監視を継続して行うことを可能にている。クライアント側で動作しているグラフィックス、タグ、アラーム、トレンド、レポート機能もクライアントの再起動を必要とせずに自動更新されるようになっている。また、変更はクラスタ化されているすべてのサーバに対して実行され、ネットワークを介してつながれているすべてのクライアントに対しても瞬間に変更が適用されるようになっている。
この機能を使えば遠隔からのシステムのメンテナンスを容易にしており、システムの設計や開発者にとっては非常に有用な機能である。
その他にも、 |
B |
グラフィックを利用した構成設定環境 |
C |
ローカル変数のサポート |
D |
アラームプロパティの追加 |
E |
I/Oデバイスのモード設定(メモリ モードと持続モード ) |
F |
パブリッシャ - サブスクライバ モデル機能 |
G |
ネットワークの冗長化(複数のIPアドレス指定) |
H |
プロジェクトベースのネットワーク構成が可能など、 |
おわりに
v7.0では以上のような様々な改良や機能追加を行い、単体での使用要求や大規模な監視システム、ミッションクリティカルな監視制御要求にまで幅広く対応できる機能を提供している。本文がより堅牢な監視制御システムの構築を目指して日夜努力されている方々の一助となれば幸いである。
【図1】

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【図2】

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【図3】

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【図4】

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【図5】

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【図6】
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